UXの意味をわかりやすく解説!UIとユーザビリティとの違いも!
市場が成熟化かつコモディティ化している日本で企業が生き抜いていくためには、製品やサービスのUXデザインを改善・改良することが求められています。
UXとは「ユーザー体験」を表す言葉です。この言葉の意味や改善するための正しいやり方をきちんと理解していないと、努力をしても成果が出ないこともあるため注意しなくてはなりません。
この記事では、UXの意味、UXデザインを向上させるためのポイント、そしてUXの成功事例について詳しく解説します。
貴社のUXデザインの改善・改良にぜひ役立ててください。
UXとは?
UXとは”User Experience”の略で「ユーザーの体験」を意味する言葉です。ビジネスにおいては、ユーザーが商品やサービスを選ぶところから、使用してその製品やサービスを再び購入したいと考えるまでのプロセス全体を指します。
そして、下記の要素がUXに含まれています。
- 使いやすさ・使い勝手
- 品質
- 使い心地
- 感動
- 印象
- 機能性
- デザイン
また、近年はUXにおける1つのブレイクスルーにつながるテクノロジーとして注目を浴びているのがVRとARです。これらのテクノロジーによって、現実には起こり得ないリッチな経験をユーザーにもたらすことができます。
UXを高めることで下記のようなメリットがあるため、近年多くの企業はUXの向上を目指して自社製品やサービスの改善に力を入れています。
- 競合他社との差別化ができる
- 顧客満足度を向上させられる
- 企業ブランドの向上につながる
UXとUIの違いは?
UIは”User Interface”の略で、「製品・サービスとユーザーを結びつける接点(タッチポイント)」のことを指します。たとえば、下記の要素がWebサイトやアプリにおけるUIです。
- Webサイトのデザイン
- フォント
- 画像
- 動画
- ボタン
- 入力フォーム
それに対して、UXは「ユーザー体験」を意味しており、製品やサービスを通じて得られた経験全体を指します。つまり、「ユーザーと商品・サービスを結びつける接点」であるUIはUXの一部であるということです。
「UIが優れている=UXが優れている」とはなりません。どれほどUIが優れた製品・サービスであったとしても、ユーザーの体験全体を考えられたUXでない場合は、ユーザーに素晴らしいUXをもたらすことはできないからです。
言い換えると、優れたサービスや製品を生み出すためには、ターゲットとするユーザーのニーズをしっかりと捉えたUXデザインを行なった上で、UXを向上させるためのUIデザインを構築することが必要になります。
UXとユーザビリティの違いは?
「ユーザビリティ」とは英語で「使いやすさ」や「使い勝手」を意味する言葉です。「特定のユーザーが特定の状況の中でその製品やサービスを利用することで目的を達成できるかどうか」がポイントになっています。つまり、ユーザビリティを把握するためには、下記の3点を明確にしなくてはなりません。
- 利用状況
- ユーザー
- 利用目的
これら3つの情報を踏まえて、「ストレスフリーで利用できたか」、「効率よく活用できたか」などの観点よりユーザビリティを判断します。
言い換えると、UXの品質を評価する要素がユーザビリティということです。
UXとCXの違いは?
「CX」は”Customer Experience”の略で、UXと同じように「ユーザー体験」を表す言葉ですが、CXの方がUXよりも幅広い範囲が対象になっているという特徴があります。
たとえば、ユーザーが製品やサービスを使用して「面白い」と感じた体験そのものはUXです。それに対してCXは、購入前の物流や、購入後のアフターサポートまで全ての体験を指します。
UXデザインを向上させるためのポイント
UXデザインを向上させるためには下記の6点に注意しましょう。
- ユーザー視点を大切にする
- 自社のターゲットユーザーを分析する
- 競合サービスを分析する
- 達成したいゴールを設定する
- データを活用して定量的に効果測定をする
- 何度も検証を繰り返す
ここではそれぞれのポイントについて詳しく解説します。
上記の6点に留意してUXデザインを構築することで、優れたUXを生み出すことにつながるでしょう。
ユーザー視点を大切にする
UXとUIをデザインする際に最も大切なポイントが「ユーザーの視点」です。オシャレなデザインであっても使い勝手が悪かったり、欲しい結果に辿り着けなかったりする商品やサービスはユーザーにストレスを与えてしまうため、良いUXをもたらすことは難しいでしょう。
「どうすれば使いやすくなるのか」
「どうすればユーザーに心地よい体験を届けられるのか」
このようなことを追求して、ユーザーファーストの製品やサービスを提供するように常に心がけてください。
自社のターゲットユーザーを分析する
自社の商品やサービスを「誰が」「何のために」利用しているのかしっかりと把握することが大切です。「ペルソナ」(典型的な商品・サービスの利用者像)を設定してユーザーの分析に活かしてください。
そして、実際に「ペルソナ」に合致するユーザーに自社の製品やサービスをテストで利用してもらいましょう。このようなテストを実施することで、ユーザーが求めるデザインや機能などについてさらに詳しく知ることにつながります。
競合サービスを分析する
競合他社の商品やサービスを分析することも大切です。競合他社の分析を通じて、自社にはなかった新しい視点や学びを得ることにつながる可能性があります。それは自社製品やサービスの改良に大いに役立つでしょう。
達成したいゴールを設定する
UIやUXのデザインを設計する上で、達成したい目標を設定することも大切です。具体的なゴール例は下記の通りです。
- 何を解決して実現したいのか
- 商品やサービスの認知度をどれほど向上させたいのか
- ユーザーにどのような行動を取ってもらいたいのか
目標やゴールがあると、ユーザーの立場に立って何をするべきかより具体的な施策が見えてくるため、最終的なUIやUXデザインの構築に大きく役立ちます。
データを活用して定量的に効果測定をする
達成したいゴールを設定できたら、定性的な情報だけでなく、売り上げ目標や顧客満足度のような定量的な数字に注目するようにしましょう。ユーザーへのテストを実施してそのテストでユーザーからの評判が良くても、達成したいゴールを達成できないこともあります。
データを活用して定量的に効果測定をするように心がけてください。
何度も検証を繰り返す
UIやUXのデザインに「完成」や「正解」はありません。時代とともに変化していきます。また、まだまだ改善の余地があるかもしれません。ユーザーテストを定期的に実施してそのフィードバックを製品やサービスに反映させたり、商品やサービスをリリースしてからも分析ツールを活用して定期的に効果測定をしたりして、何度も検証と改善を繰り返すようにしましょう。UXがどんどん高まることにつながります。
優れたUXが求められている理由
近年優れたUXを提供することが求められています。それは主に下記の4つの理由や背景によるものです。
- モノの消費からコトの消費に時代が変遷しているから
- ロイヤルカスタマーの獲得が重要視されているから
- スマホが普及してきたから
- さまざまなモノのIoT化が進んでいるから
ここでは、上記の4つの理由や背景をもとにUXの重要性が高まってきている理由について詳しく解説します。
モノの消費からコトの消費に時代が変遷しているから
昔は優れた機能や性能を持つ商品やサービスを提供すれば売れる「モノの消費」の時代でした。しかし、市場が成熟し、コモディティ化が進んでいる今、「モノ」だけで差別化するのが難しくなっています。そのため、体験や経験に焦点を当てる「コトの消費」に変わってきました。「コトの消費」では、ユーザーが商品やサービスに出会った瞬間から購入後のアフターサービスまでの体験の中で「価値」を感じられるアプローチが必要になります。
顧客にもたらす「価値」とは下記のような、ユーザーの心をグッと掴めるような特徴のことです。
- 使い心地
- 感動
- 印象
このような「価値」をユーザーに提供することで、他社との差別化を図れるようになり、競争優位性をキープすることにもつながります。
ロイヤルカスタマーの獲得が重要視されているから
自社の製品やサービスが優れたUXをユーザーに提供できたら、顧客満足度が向上し、ブランドやメーカーの愛好者であるロイヤルカスタマーになってもらえる可能性が高まります。
市場が成熟し、人口減少が進む日本で企業が生き残るためには、リピーターやロイヤルカスタマーを獲得することは必要不可欠です。
また、そのロイヤルカスタマーに発信力がある場合、SNSや口コミサイトなどの媒体を通じて自社製品やサービスについて情報発信してくれるという効果もあります。近年、ユーザーは製品やサービスを購入する際に周囲の口コミや評価を重視する傾向があることから、これは非常に重要なことです。
スマホが普及してきたから
スマホの普及によって誰もがいつでもどこでもインターネットに接続できるようになりましたね。その結果、ユーザーは常日頃から多種多様な商品やサービスを目にしたり、選択したりする機会が増えました。
つまり、ユーザーは商品やサービスに対して数多くの選択肢を持っていることから、少しでも「見づらい」「使いづらい」と感じるとすぐに他の製品・サービスに目移りすることができるようになったのです。
このような状況であることから、企業はユーザーが「利用しやすい」「心地よい」と感じられる製品やサービスを提供する必要性に迫られています。
さまざまなモノのIoT化が進んでいるから
IoTとは”Internet of Things”の略で「モノのインターネット化」のことです。インターネットに自動で接続できるテレビやデジタルカメラ、デジタルスピーカーなどの情報家電のことを主に指します。
近年IoT化が進んでおり、さまざまなものがインターネットに繋がっています。
そしてIoT化が進むことによって、これまでは製品やサービスを販売したら終わりであったものが、ユーザーによる商品・サービス購入後の利用動向も把握できるようになったのです。そのため、これまで以上に継続的に製品・サービスを利用してもらったり、リピーターになってもらったりすることが重要になってきています。
また、ユーザー1人ひとりの顧客データを入手することが容易になったため、カスタマイズされた体験や価値を提供してより良い体験をもたらすこともできるようになっていることもUXの重要性を高めています。
UXの成功事例
つづいて、UXデザインの改善や改良を続けたことで成功を収めた企業を5つ紹介します。
下記の通りです。
- Oisix
- LINE
- スターバックス
- Netflix
- クックパッド
これらの企業の取り組みを参考に、貴社のUXデザインを改良できないか参考にしてみてください。
UXの成功事例①Oisix
Oisixは株式会社オイシックスが手掛けるECサービスで、有機野菜や無添加食品を取り扱っています。
Oisixには定期注文をするためのアプリがありましたが、そのアプリは限られたユーザーのみ使用することができました。しかし、ロイヤリティが高いにも関わらず売り上げ単価が低いという課題を抱えていました。
そこで下記のようなUXデザインを改善するための施策を行い、課題であった売り上げ単価のアップに繋げたのです。
- ユーザーの視点に立って商品の訴求を行う
- 特集を回遊できる
- 「今週の催事」をお知らせする
- カテゴリをカスタマイズできるようにする
- カートの下に冷凍手数料と配送料を無料にするためのレコメンド機能を追加する
- よく買う商品を注文後に表示する
UXの成功事例②LINE
日本で最も利用されているSNSであるLINEは、UXデザインの改善に力を注ぐ企業の1つです。
LINEはこれまでに下記のようにさまざまなUXデザインの改善を行なってきました。
- 従来のメールやメッセージアプリとは異なり、吹き出しを用いて時系列で表示することで「会話」のような感覚を生み出す
- 「非言語コミュニケーション」も楽しめるスタンプやグループ機能を追加する
- スタンプ送信時に毎回「送信しますか?」という確認を省くことでユーザーをストレスフリーにする
- 利用するための会員登録やログインをなくす
このように常にユーザーの視点に立って改良を重ねた結果、「使いやすい」「友達を誘いやすい」と評判になり、ユーザー数を増やし続けて現在の地位を築き上げることに成功しました。
UXの成功事例 ③スターバックス
世界中から愛されているスターバックスは、創業当初からユーザー体験をデザインすることに力を入れてきた企業です。それゆえに現在の地位を確立できたのでしょう。
スターバックスがこれまで行なってきたさまざまなUXデザインの中で最も特徴的なことが「ユーザーが通いたくなるオシャレな空間作り」です。スターバックスは「The Third Place(第3の居場所)」をコンセプトに掲げている企業で、そのコンセプトに沿って、ユーザーに非日常的なリッチで落ち着いた環境を提供することをイメージして設計されました。
他にも、「モバイルオーダーサービス」もUXデザインの成功施策として挙げることができます。これは2015年頃から導入されたもので、レジの前まで行かなくてもスマホさえあれば飲食物を注文して、テーブルまで運んでもらえるサービスです。このサービスによって、店員さんとのコミュニケーションが苦手な人でも気軽にスターバックスに足を運ぶことができるようになりました。
UXの成功事例④ Netflix
Netflixは、新型コロナウイルスをきっかけに世界で爆発的に人気を博したビデオオンデマンドサービスです。
これまで、「映画は映画館に行かないと観られない」という概念を覆し、月額料金さえ支払えばスマホやパソコンで映画やドラマを好きなだけ視聴できるという画期的なサービスを生み出しました。
手軽さやリーズナブルな価格だけでなく、充実したラインナップも理想的なUXデザインと言えるでしょう。Netflixでは5,000以上もの映画やドラマなどを配信しており、中には公開してからわずか3ヶ月ほどの映画やドラマ、さらには高品質なオリジナル作品もあります。
Netflixは世界で最も理想的なUXデザインを提供している企業の1つです。
UXの成功事例⑤ クックパッド
クックパッドは、イギリスのクックパッド株式会社が提供する日本最大の料理レシピサービスです。
クックパッドにはアプリもありますが、下記のようにユーザーが「何度も使いたい」と思えるような工夫が数多く施されており、優れたUXデザインを提供できています。
- スマホから料理写真だけを自動で抽出して、自動で毎日の料理記録を作成できる「料理きろく」機能
- レシピの信憑性を確認できる「つくれぽ」機能
- 幅広い年齢層のユーザーのために押しやすいサイズのメニューに変更
- レシピを探すのも億劫な人でも簡単にレシピが検索できる「今の気分に合わせて料理を提案」機能の追加
- 撮影した手元の食材をAIが分析して、その食材を合わせたレシピを提案する「AIおすすめ料理」機能の追加
このような優れたUXデザインによって他の料理アプリとしっかりと差別化を図っています。現在、日本国内で約630万人がクックパッドを利用しており、料理系アプリの中でダントツの人気を誇っています。
まとめ:UXの重要性は今後ますます高まる!意味をしっかりと押さえておこう!
いかがでしたか?この記事を通じて、UXの意味と、改善に向けた正しいやり方について理解することはできましたか?
UXは、ユーザーが製品やサービスを通じて得られる経験のことです。ユーザーの経験に「楽しい」「使いやすい」「感動した」などのポジティブな印象を与えて付加価値を高めることがUXの向上につながります。
「モノの消費」から「コトの消費」の時代に変遷している今、UXの向上は企業の生き残りに必要不可欠な戦略です。
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