感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!

感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

近年、機械学習によってAIが多種多様な学習能力を身につけています。
そして現在注目を浴びているのが「AIが人間の感情を分析する力」です。

まだ発展途上ではありますが、AIによる感情分析は非常に役立つテクノロジーです。私たちの日常生活やビジネスなどさまざまな場面で活用できるようになるでしょう。

この記事では感情分析ツールの種類、感情分析ツールが実際に利用されている事例の紹介、そしておすすめの感情分析ツールを5つ紹介します。

目次

感情分析とは

感情分析とは|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

感情分析とは人工知能(AI)などのデジタル技術を使って人の感情を分析することです。これまではコンピュータを用いた人の感情の読み取りは難しいとされていましたが、クラウドサービスの台頭やAIを活用したディープラーニングの発展によって感情分析が可能になりました。

感情分析できるデータは下記のように多岐に渡ります。

  • SNSでの投稿
  • 商品レビュー・口コミ
  • 問い合わせ履歴
  • 映像
  • 音声

感情分析で人の発言の真意を確認できると、不正防止や顧客満足度の向上につながることが期待できます。

たとえば、コールセンターでは通話中の顧客の声色から相手の心理状態や感情を把握することができ、顧客の気持ちに合った言葉遣いを選んだり、声のトーンを調整できたりするといったことです。

感情分析はビジネスにおいて非常に役立つことから、下記の業界で主に積極的な導入が進んでいます。

  • 警察
  • 保険会社
  • 金融機関
  • ヘルスケア市場
  • 自動車メーカー
  • ガス事業者

今後さらに多くの業界が導入することが見込まれています。

感情分析の種類

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感情分析は下記の4種類に分類されます。

  • 文章
  • 音声
  • 生体
  • 表情

それぞれの仕組みがどのように機能しているのか詳しく解説します。

文章

AIは人が作成した文章(テキスト)で使用されている単語・表現・言葉遣いから、ポジティブであるかネガティブであるか、またはどのような感情を抱いているのかを判断します。

正確な感情分析をするためにはAIに感情分析に必要な基本的なデータを学習させて判断基準を与えることが大切です。

基本的なデータとして使用されるものの代表例は下記の通りです。

  • SNSで投稿された声
  • チャットボットでのやり取り
  • 顧客からのメール

数多くのデータが蓄積されるほどAIの感情分析に対する精度が高まり、下記のような効果を期待することができるでしょう。

  • 顧客に対する理解度を深められる
  • 顧客の自社に対する評価がわかる
  • 顧客の潜在的な商品のニーズがわかる
  • 新しい商品やサービスの開発につながる

音声

自然言語処理の技術や、声の大きさや抑揚を解析するための技術を使って、人の声からAIが「喜び」「悲しみ」「怒り」「平常」などの感情を分析します。

音声を通じた感情分析によって、コールセンターなどにおいて顧客の感情が早い段階で分かり、顧客に寄り添った対応ができます。トラブルを未然に防ぐことにつながるでしょう。

また、これはオペレーターが顧客の感情を分析する際に使えるだけでなく、管理者側がオペレーターのストレスを察知するのにも役立てられるため汎用性が高いです。

生体

脳波、脈拍、そして発汗などの生体情報から感情分析することも可能です。生体での感情分析はセンサーの利用を通じてリアルタイムで分析できるとともに、後述する感情での感情分析よりも精度が高いという点が特徴として挙げられます。

しかし、他の3つの種類の感情分析と比べるとまだまだ発展途上です。脳波や発汗を用いて分析する場合は専用の装置が必要になりますが、脈拍はスマートウォッチに搭載されている製品が増えたため、活用の幅が広がりました。

例えば、学校などの教育現場で、子供たちの視線、音声のピッチ、表情などから授業の集中度や理解度を図ることを可能にしてくれるでしょう。ビジネスにおいては社内会議や研修に応用することもできますね。

表情

AIは顔認識技術を使って、映像に映る人間の表情から人間の感情を察知することもできます。例えば、店舗に設置された防犯カメラなどの映像に映った人の目の動き、瞳孔の大きさ、視線などの情報を元に感情を判断するのです。場合によっては、本人すら認識できていない「無意識」の感情まで分析することができます。

ディープラーニングの精度が高まるほど、小さな動きだけで感情分析することができるようになるでしょう。

表情を用いた感情分析は下記のような場面で活用できます。

  • 電子看板を目にした人の反応
  • 商業施設における来訪者の満足度調査
  • 商業施設における動線の改善
  • 従業員のストレスチェック
  • 入国審査

感情分析ツールの活用事例

感情分析ツールの活用事例|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

感情分析ツールは下記のように、私たちの日常生活やあらゆるビジネスで活用できるテクノロジーです。

 

  • 運転事故の予防
  • 顧客満足度アップ・新商品の開発
  • 社員のストレスチェック
  • アスリートのコンディションの管理
  • 電話対応の自動化
  • 子どもの学習サポート

 

それぞれの感情分析ツールの活用事例について詳しく解説します。

 

運転事故の予防

自動車業界では感情分析を運転事故の予防に活用しています。車内の映像や声を分析することでドライバーと同乗者の感情や疲労度を判定します。居眠り運転やあおり運転の予防を目指すことが目的です。

 

顧客満足度アップ・新商品の開発

上記にもありますが、文章や音声などさまざまな媒体を活用して感情分析をすることが可能になりました。ディープラーニングの程度にもよりますが、場合によっては人間が人の感情を分析するよりも精度の高い感情分析をすることが可能です。

 

例えば、コールセンターではAIを用いて顧客の感情を読み取ることができるため、顧客の気持ちに寄り添った接客ができるようになるでしょう。つまり、これは顧客満足度の向上につながります。

 

他にもマーケティングの場でSNSの投稿を感情分析することで、下記のようにさまざまなことを知れるため非常に便利です。

 

  • 顧客の製品やサービスに対する満足度
  • 新しいトレンドの発見
  • 不満を持つ顧客への改善策の立案
  • 新しい商品やサービスの開発
  • 自社と競合他社に関する正確な情報分析
  • 業界内における自社のポジションの明確化

 

社員のストレスチェック

たとえば従業員の声からストレス状態をチェックして、従業員のメンタルヘルスの管理を行うこともできます。定期的に従業員の感情分析を行うことで、燃え尽き症候群や鬱などの予測や予防につながり、従業員のメンタルヘルスを保つことが可能です。

 

社員のストレスチェックを紙媒体またはオンライン上で既に実施している企業もあるかもしれません。しかし、感情分析を活用したストレスチェックをすることで、アンケートでは検知できない潜在的なストレスを見つけ出すこともできます。また、リアルタイムで検知できるため、早期対応ができ生産性や離職率の低下にもつながるでしょう。

 

アスリートのコンディションの管理

音声感情解析AIを活用して、アスリートのメンタルサポートを行なっている事例もあります。

 

アスリートは大切な試合でベストなパフォーマンスを見せるためにも、身体面と精神面の2つの側面から日々コンディションを整えることが必要です。

 

身体的な管理としては、さまざまな機器を活用したり、アスリートに直接ヒアリングをしたりすることを通じてデータを集め管理することができます。しかし、精神面については身体管理とは異なり、状態が表面に表れにくいため把握や管理が難しいとされてきました。しかし、感情分析によってメンタル状態の高精度な可視化やデータ化が可能になりました。

 

身体面と精神面のサポートをしっかりと行うことで、アスリートのパフォーマンスの向上に大きく貢献することは間違いないでしょう。

 

電話対応の自動化

感情認識ができるAIを搭載したボイスボット(AI技術を利用した音声会話プログラムまたはサービスのこと)を活用することで、的確な電話応対ができます。受電音声を解析して、音声合成技術などを使って回答します。

 

コールセンターのオペレーターは1人ひとりの顧客に対して丁寧な電話応対を心がけるがゆえに、1人ひとりの顧客にかける対応時間が長くなってしまいがちです。つまり、他の顧客の待ち時間が長くなってしまい、顧客側にストレスが溜まってしまう恐れがあります。

 

電話対応の自動化によって、この問題が解決されることが期待できるでしょう。

 

子どもの学習サポート

感情分析ツールを搭載した子どもの学習用のソーシャルロボットを使うと、子どもの表情を見ながら、子どもが喜べば共に笑い、子どもが悲しめば子どもを慰めるといったことができます。また、それぞれの子どもの感情表現のやり方の傾向に合わせて柔軟に対応を変化させ、子ども1人ひとりに合わせた方法で読み書きの学習をサポートしてくれることも可能です。

 

将来的には子どもの学習サポートだけでなく、大人向けの語学講師やジムのトレーナーなどにも応用できるでしょう。

感情分析ツールの課題と将来性

感情分析ツールの課題と将来性|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

2021年にESジャパンが行った「感情分析ビジネスの市場規模予測」によると、2023年から2027年の5年間で感情分析ビジネスの市場規模は300億米ドルもの巨大な市場に成長することが予想されています。このような高成長が期待できる背景としては、AI、ウェアラブル技術、ビッグデータなどのテクノロジーの発展が大きく影響しているようです。

しかし、感情分析ツールには下記のような課題もあります。

  • 感情の研究や理論がまだ成熟期に達しておらず、さまざまな感情が混ざり合っている場合、AIは感情分析ができない
  • 個人情報の取り扱いに十分な注意を払い、しっかりとしたセキュリティ対策や、専門チームを組織するための人員と予算が必要になる
  • AIでの画一化された感情分析によって、国や地域による文化の違いなどが考慮されなくなるという懸念がある

まだまだ課題や疑問も多い感情分析ビジネスではありますが、上記にもあるように日常生活やビジネスのさまざまな場面で活用することができる技術です。今後成長や発展を遂げながらこれらの課題を解決していくでしょう。

感情分析ビジネスの未来は明るく、これからますます需要や精度が高まることが期待されます。

代表的な感情分析ツール5選

代表的な感情分析ツール4選|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

最後に下記の5つの代表的な感情分析ツールを紹介します。

 

  • テキスト感情認識AI
  • Amazon Comprehend
  • 感情分析API
  • Owl Vision
  • 感情を宿したAI

 

テキスト感情認識AI

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出典:User Local

テキスト感情認識AIは入力された文章(テキスト)を元に感情分析をするツールです。
日本で最も有名な文章感情分析ツールと言っても過言ではないでしょう。

機械学習を用いて文章や音声から「喜び」「悲しみ」「怒り」「好き」「恐れ」の5種類に分けて解析し、レーダーチャートで分かりやすく表示してくれます。
問い合わせが必要になりますが、自作ツールやサイトに機能を搭載するためのAPIも用意されているようです。

>> テキスト感情認識AI(ユーザーローカル)についてさらに詳しく知りたい人はこちらへ

Amazon Comprehend

Amazon Comprehend|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

出典:aws

Amazon ComprehendはAmazon Japanが提供する感情分析ツールです。機械学習を使って、テキスト内の関係性(良い・悪い・中間)を分析します。機械学習の経験がない人でもテキストを入力するだけで簡単に感情分析をすることが可能です。
このツールでは下記のように多種多様なAPIが用意されており、さまざまな角度からユーザーや顧客からの口コミやレビューの感情分析を行うことができます。

  • キーフレーズ抽出
  • 実体認識
  • トピック形成
  • 言語検出

100文字=1ユニット単位での従量課金制で、リクエストごとに3ユニットの最低料金が発生します。多言語対応も可能なツールです。

>> Amazon Comprehendについてさらに詳しく知りたい人はこちらへ

 

感情解析API

感情解析API|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

出典:株式会社CINC

感情解析APIは他の感情分析ツールと比べると最新のテキスト感情分析AIです。
「怒り」「喜び」「恐れ」「好き」「悲しみ」「中立」の6種の感情をグラフで表示してくれます。同じ言葉であっても、微妙なニュアンスの違いで感情が異なる部分を正しく解析してくれる点が特徴です。

現段階では具体的なサービスに実装されていませんが、今後の成長が楽しみなツールであると言えます。

>> 感情解析APIについてさらに詳しく知りたい人はこちらへ

 

Owl Vision

Owl Vision|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

出典:daftcraft

Owl VisionはVRとAIの技術によって、体験者の視線の動きや身体の動きを計測・記録するための分析ツールです。空間内でのユーザーの視線、感情、動作などの記録データからユーザーのリアルなインサイトを導き出すことができます。
商品やサービスの改善はもちろん、これまでは難しいとされてきた建造物、イベントサイトや仕事の現場におけるユーザー分析も可能です。テスト対象が大きい場合は、VRを活用したシミュレーションもできます。

>> Owl Visionについてさらに詳しく知りたい人はこちらへ

 

感情を宿したAI

感情を宿したAI|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

出典:ILU言語理解研究所

「感情を宿したAI」はILU言語理解研究所が生み出した自然言語理解(NLU)と自然言語処理(NLP)が組み合わされたハイブリット型の感情分析ツールです。
文意に含まれた直接的な意図だけでなく、字面からは読み取りが難しい間接的な意図まで理解することができます。

文章の感情分析の他にも、文章の要約や文章の生成などにも使えるツールです。

>> 感情を宿したAIについてさらに詳しく知りたい人はこちらへ

 

まとめ:感情分析ツールの未来は明るい

まとめ:感情分析ツールの未来は明るい|感情分析ツールとは?6つの活用事例と4つの代表的なツールを紹介!|ダフトクラフト株式会社

いかがでしたか?

この記事では感情分析ツールの種類、実際に活用されている事例、そしておすすめの感情分析ツールを5つ紹介しました。
まだまだ発展途上のテクノロジーではありますが、この記事でも紹介したように感情分析ビジネスは今後大きな成長が見込まれる分野です。それは上記にもあるように、スポーツ、自動車業界、教育業界などあらゆる場面やビジネスで汎用できる科学技術であるからでしょう。

感情分析ツールにさらに詳しく知りたい人はダフトクラフトまでお問い合わせください。

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ダフトクラフト編集部

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